
「裏側矯正は痛いらしい」という声を耳にして、不安を抱いている方は多いのではないでしょうか。裏側矯正は、歯の裏側に装置をつけるため、外から見えにくく審美性の高い治療方法です。しかし、装置が舌に触れる位置にあるため、表側矯正とは痛みの原因や慣れるまでの過程が異なります。
この記事では、裏側矯正の痛みの特徴、表側矯正との違い、慣れるまでの期間、痛みを軽減するための対処法などをわかりやすくまとめています。裏側矯正を検討している方や、治療を始めたばかりの方にとって、安心して進められる情報を丁寧に解説します。
裏側矯正とは?基本を理解しましょう
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着して行う矯正治療です。外側からはほとんど見えないため、矯正中でも自然な見た目を保ちやすいのが大きな特徴です。
表側矯正と同じく、ワイヤーの力を利用して歯を少しずつ動かす治療方法ですが、装置の装着位置が舌に近いため、初期は舌に違和感が出ることがあります。
裏側矯正のメリット
裏側矯正には、見た目以外にもさまざまな利点があります。
外から見えない
裏側矯正最大の特徴は「目立ちにくい」という点です。
人前に立つ仕事の方、矯正をしていることを知られたくない方に選ばれる理由のひとつです。
食べかすが見えにくい

食事中に装置へ食べ物が付着しても、外側から見えないため、見た目を気にせず食事ができます。
表側の歯に跡が残りにくい
歯の裏側に装置をつけるため、正面から見える歯のエナメル質に影響しにくく、矯正装置を外した後の見た目が気になる方にもメリットがあります。
舌癖が改善することもある
舌で前歯を押す癖(舌癖)は、歯並びが乱れる原因のひとつです。裏側矯正では、装置が舌に触れることで自然と舌の位置が整い、癖の改善につながる場合があります。
裏側矯正は本当に痛い?痛みの特徴
結論として、裏側矯正は治療初期に痛みや違和感を感じる場合があります。ただし、多くの方は徐々に慣れ、数週間〜数ヶ月で日常生活に支障がない程度になります。
痛みが生じる主な原因
① 装置が舌に触れる違和感

裏側矯正では、舌が装置に触れるため、最初は「舌がひっかかる」「触れて痛い」といった違和感を覚えることがあります。
② 舌に傷がつくことがある
装置と舌が擦れることで、軽い口内炎のような症状が起こることもあります。
③ よだれが増える
口の中に異物が入ると、最初は唾液が増えることがありますが、時間とともに慣れて落ち着くのが一般的です。
④ 歯が動く痛み
表側矯正と同じく、歯が動く際の圧迫感や痛みは発生します。通常は1週間前後で落ち着く方が多いです。
表側矯正との痛みの違い
表側矯正では、装置が唇や頬の内側に触れ、そこに痛みを感じることがあります。
裏側矯正は舌側に装置があるため、発音や舌の動きが影響を受けやすい点が異なります。
慣れるまでの期間
裏側矯正の違和感が落ち着くまでには、個人差がありますが、おおよそ以下のような経過をたどります。
装着直後〜1週間

もっとも違和感が強い時期です。舌が触れて痛みを感じたり、発音がしにくくなったりします。
2週間〜1ヶ月
舌が装置に慣れ、発音や食事がしやすくなってきます。
1〜3ヶ月
会話中の違和感は徐々に軽減され、多くの方が普段どおりに話せるようになります。
3〜6ヶ月
ほとんどのケースで、装置の存在をあまり意識せず生活できるようになってきます。
慣れに影響する要因
- 年齢
- 歯の移動量
- 舌や口腔環境の個人差
- 発音練習や舌トレーニングの有無
練習を続けることで、慣れるスピードが早くなるケースもあります。
痛みや違和感を軽減する方法
裏側矯正の痛みは工夫次第で軽減できます。以下の方法を試してみましょう。
発音練習をする
新聞や本を音読したり、ゆっくり丁寧に発音するよう意識したりすることで、舌の動きがスムーズになり、発音がしやすくなります。
舌のトレーニング
舌を上下左右に動かす運動、頬を膨らませる運動などを行うことで口周りの筋肉が整い、装置への適応が早まります。
保護用ワックスの使用
舌が装置に当たる部分にワックスをつけると、舌を守ることができます。
食事は柔らかいものから

装着初期は、噛む力が強い食事は避け、スープや麺類、柔らかい料理から始めると負担が少なく済みます。
水分補給をこまめに
口の中が乾燥すると装置の刺激を強く感じるため、水分補給が有効です。
裏側矯正に向いている人・向いていない人
裏側矯正は、すべての人に最適というわけではありません。
以下を参考に、自分に合う治療かどうかを判断してみてください。
裏側矯正に向いている人
- 装置を見せたくない
- 人前で話す機会が多い
- 前歯の後退を希望している
- 審美性を優先したい
裏側矯正に向いていない人
- 費用を抑えたい
- 発音に影響が出るのが困る
- 歯磨きに時間をかけづらい
- 少しでも短期間で治療を終えたい
当院の裏側矯正の流れ

当院では、口腔内スキャン・レントゲン・セファロ写真などを用いて、歯並びや骨格の状態を多角的に評価し、裏側矯正が適しているかどうかを丁寧に判断します。
治療中の不安や痛みについても、経過を見ながら調整を行い、安心して治療を進められるようサポートしています。
治療期間と通院回数
- 治療期間:1〜3年程度
- 通院回数:24〜36回程度(4〜12週間に1回)
- 保定期間:1〜2年以上(リテーナー使用)
費用(当院料金)
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治療法 |
費用(税込) |
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表側ワイヤー矯正 |
748,000〜968,000円 |
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ハーフリンガル矯正 |
898,000〜1,118,000円 |
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裏側全体ブラケット矯正 |
1048,000円~1268,000円 |
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部分矯正(マウスピース) |
327,800円(片顎) |
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マウスピース型矯正(全体) |
軽度748,000円/中度858,000円/重度968,000円 |
● 保定装置(リテーナー)
- 約2万円前後(片顎)
一般的なリスク・副作用
- 初期の痛み・違和感
- 舌の擦れや口内炎
- 清掃しづらさによるむし歯・歯周病リスク
- ワイヤーの破損
- 矯正後の後戻り
まとめ:裏側矯正の痛みは“慣れ”で大きく軽減されます
裏側矯正は、初期に痛みや違和感を感じやすい治療方法ですが、多くの場合1〜2ヶ月で慣れ、3〜6ヶ月でほぼ問題なく日常生活を送れるようになります。痛みの原因や対処法を知っておくことで、治療への不安を軽減できるでしょう。
当院では、裏側矯正・表側矯正・マウスピース矯正など複数の矯正方法を用意しており、患者さんの状況に合わせて最適な治療をご提案しています。「痛みが不安」「裏側矯正と表側矯正で迷っている」という方も、お気軽にご相談ください。
著者情報
渋谷宮下パーク歯科矯正歯科 院長 山本 相春
【略歴】
2007年北海道医療大学 歯学部卒業後 北海道大学第一口腔外科 研修医
2008年大阪の審美・矯正歯科医院で勤務
2013年都内の歯科医院で分院長として勤務
2016年インビザライン矯正専門医院に勤務
2018年渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科 開院
【資格・所属学会】
インビザライン認定医ダイヤモンドプロバイダー(年間150症例以上)
日本矯正歯科学会所属
日本歯科審美学会所属
日本成人矯正歯科学会所属
東京医科大学病院医療連携医
東京歯科大学水道橋病院医療連携協力医療機関
ニューヨーク大学2017年iACD DIPLOMA 所得
アリアスリンガルシステムワイヤーハンズオンコース修了
ASO Aligber認定医
ZERO system Basic Course 修了
Basic Course of Implant Orthodontic Treatment Course 修了
3i implant sinus approach advance course 修了