
「矯正はしたいけれど、装置が見えるのはできれば避けたい」
そんな方に選ばれているのが、歯の裏側に装置をつけて行う “裏側矯正(リンガル矯正)” です。外側からはほとんど見えないため、見た目を気にせず治療できるのが大きな特徴です。
ただし、裏側矯正にはメリットだけでなく、気をつけるべきポイントもあります。治療方法の特徴をよく理解したうえで、自分に合う矯正方法を選ぶことが大切です。
この記事では、裏側矯正のメリットとデメリット、向いている人・向いていない人、治療期間・費用の目安までわかりやすく解説していきます。
裏側矯正とは?見えない矯正治療の基本
裏側矯正とは、歯の裏側(舌側)にワイヤーとブラケットを装着し、歯を動かしていく矯正方法です。
表側に装置をつける一般的なワイヤー矯正とは異なり、矯正装置が目立ちにくい点が大きな特徴です。
接客業や人前に立つ職業の方、見た目に配慮したい方に選ばれることが多い治療法ですが、治療方法としての特徴や注意点を理解することが重要です。
裏側矯正の6つのメリット
裏側矯正には、独自のメリットがいくつかあります。
① 見た目に影響しにくい

歯の裏側に装置をつけるため、正面からは装置が見えにくく、矯正中であることを周囲に気づかれにくいというメリットがあります。
職業上、口元の印象を崩したくない方や、イベントなどを控えている方にも適しています。
② 前歯を下げる動きとの相性が良いとされる裏側からワイヤーがかかるため、前歯を後方へ動かす治療で有利に働く場合があります。
個々の症例評価は必要ですが、前歯の突出感が気になる患者さんでは、治療方法の候補となることがあります。
③ 舌癖の改善につながる場合がある
舌で前歯を押す癖(舌癖)は歯並びが乱れる原因のひとつといわれています。裏側矯正は装置が舌の位置に影響するため、舌の癖が抑制されやすく、結果として歯列の安定に寄与する場合があります。
④ 表側のエナメル質に負担がかかりにくい
裏側に装置をつけるため、正面から見える歯のエナメル質にブラケット跡が残るリスクが比較的抑えられます。見た目を重視したい方にとって安心材料のひとつです。
⑤ 唾液の流れがよくトラブルが起こりにくい場合がある
歯の裏側は唾液が循環しやすいため、装置周囲の汚れが滞留しにくいという特徴があります。唾液の自浄作用により、口腔内を清潔に保ちやすいと言われています。
⑥ 食べかすの見た目を気にしなくてよい
裏側矯正では、食べ物が装置に挟まっても外から目立ちません。食事後にすぐ歯磨きが難しい状況でも、周囲の目を気にせずに過ごしやすい点がメリットです。
裏側矯正の5つのデメリット
裏側矯正にはメリットが多い一方、注意すべきポイントもあります。
① 表側矯正より費用が高い

裏側矯正は装置の設計が複雑で治療技術も高度なため、費用が高くなる傾向があります。
当院では表側矯正と裏側矯正の費用は下記の通りです。
- 表側ワイヤー矯正:748,000〜968,000円(税込)
- 裏側全体ブラケット矯正:1048,000円~1268,000円(税込)
費用面の負担は大きくなる傾向があるため、予算と相談しながら選ぶことが必要です。
② 治療期間が長くなる場合がある
裏側矯正はワイヤー操作が繊細で調整にも時間がかかるため、症例によっては表側矯正より治療期間が長くなることがあります。
当院の全体矯正の治療期間は、
- 1〜3年程度(通院回数:24〜36回)
が目安です。
裏側矯正はこの範囲をやや超える場合もあります。

裏側矯正で発音が気になる人へ|慣れるまでの期間と改善方法を徹底解説
裏側矯正で発音がしづらくなる理由や、慣れるまでの目安期間、日常でできる改善方法をわかりやすく解説します。仕事や会話への影響が心配な方におすすめの記事です。
③ 滑舌に影響する場合がある
装置が舌に触れるため、装着初期は舌の動きに違和感が出る場合があります。サ行・タ行・ナ行などが発音しづらくなることもありますが、ほとんどの場合は数週間で慣れていきます。
④ 食事がしづらいと感じることがある
舌側の装置は食べ物が接触しやすく、食べにくさを感じることがあります。麺類や繊維質の多いものは装置に絡まりやすく、慣れるまで食事に工夫が必要です。
⑤ 歯磨きが難しい

裏側は視野が確保しづらく、歯ブラシが届きにくい部位です。磨き残しが増えると虫歯・歯周病のリスクが高まるため、タフトブラシやデンタルフロスを併用した丁寧なケアが欠かせません。
裏側矯正に向いている人・向いていない人
治療法としての向き・不向きがあります。以下は選択の目安です。
裏側矯正に向いている人
- 矯正装置を見せたくない
- 人前に立つ仕事をしている
- 前歯の突出感を改善したい
- 多少治療期間が長くなっても見た目を優先したい
裏側矯正に向いていない人
- できるだけ費用を抑えたい
- 発音を重視する職業
- 歯磨きに時間をかけるのが難しい
- 矯正期間を短くしたい
裏側矯正の費用と治療期間
費用
当院の価格体系に完全準拠しています。
- 裏側全体ブラケット矯正:1048,000円~1268,000円(税込)
- ハーフリンガル矯正:898,000円~1118,000円(税込)
治療期間
- 全体矯正:1〜3年程度
- 通院回数:24〜36回(4〜12週間ごと)
裏側矯正とマウスピース矯正の違い

どちらも「目立ちにくい矯正」という特徴がありますが、適応や使い分けは異なります。
マウスピース矯正の特徴
- 透明で目立ちにくい
- 取り外し可能
- 衛生管理がしやすい
- 軽度〜中等度の症例に適応しやすい
裏側矯正の特徴
- 装置は外れないため自己管理が不要
- 複雑な症例や抜歯症例にも対応可能
- 舌にあたりやすいため慣れが必要
渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科の裏側矯正
当院では、治療前に口腔内スキャン・レントゲン・セファロ分析などを行い、歯並び・骨格・噛み合わせを総合的に診断します。
そのうえで裏側矯正が適しているのか、他の矯正方法との比較を含めて丁寧に説明いたします。
また、完全個室の診療室でプライバシーに配慮した環境を整え、治療中の不安や疑問にも対応しています。
裏側矯正を始める前に知っておきたい注意点
- 装置に慣れるまで1〜2週間の違和感がある
- 発音・食事への影響が出る可能性
- 口腔ケアに時間がかかる
- 通院頻度が治療結果に影響する
- 虫歯・歯周病リスクが上がるためクリーニングが重要
これらのリスクはどの矯正方法にも共通するもので、事前に理解しておくことが大切です。
まとめ|見えない矯正としての選択肢
裏側矯正は、見た目に配慮しながら矯正を進めたい方にとって有力な治療方法のひとつです。ただし、費用や発音の慣れ、ケアの難易度などの特徴もあるため、ご自身のライフスタイルや優先順位を踏まえて選ぶことが大切です。
渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科では、裏側矯正だけでなく、マウスピース矯正・表側矯正・部分矯正など、多様な選択肢から患者さんに合った治療方法をご提案しています。横顔や見た目を自然に整えたい方、装置が目立つのが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
著者情報
渋谷宮下パーク歯科矯正歯科 院長 山本 相春
【略歴】
2007年北海道医療大学 歯学部卒業後 北海道大学第一口腔外科 研修医
2008年大阪の審美・矯正歯科医院で勤務
2013年都内の歯科医院で分院長として勤務
2016年インビザライン矯正専門医院に勤務
2018年渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科 開院
【資格・所属学会】
インビザライン認定医ダイヤモンドプロバイダー(年間150症例以上)
日本矯正歯科学会所属
日本歯科審美学会所属
日本成人矯正歯科学会所属
東京医科大学病院医療連携医
東京歯科大学水道橋病院医療連携協力医療機関
ニューヨーク大学2017年iACD DIPLOMA 所得
アリアスリンガルシステムワイヤーハンズオンコース修了
ASO Aligber認定医
ZERO system Basic Course 修了
Basic Course of Implant Orthodontic Treatment Course 修了
3i implant sinus approach advance course 修了