「マウスピース矯正を夜だけ装着すれば効果があるのでは？」と考える方は多いかもしれません。
日中は仕事や学校で忙しく、目立たないとはいえ、常に装着するのは負担に感じることもあります。
しかし、マウスピース矯正で確実な効果を得るためには、装着時間の管理がとても重要です。
この記事では、渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科が「夜だけ装着の可否」と「効果的な使用方法」について詳しく解説します。
これからマウスピース矯正を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
マウスピース矯正の基本装着時間とは
マウスピース型（カスタムメイド）矯正歯科装置（インビザラインなど）で十分な効果を得るには、
1日20〜22時間の装着が必要です。
食事や歯磨きのとき以外は、常に装着している状態が理想です。
歯は「一定方向に継続的な力」がかかることで少しずつ動きます。
装着時間が短いと歯にかかる力が断続的になり、計画通りに動かなくなってしまいます。
つまり、夜だけの装着（8時間前後）では、一般的な矯正効果は得られません。
装着時間と歯の動く仕組み
歯の根の周りには「歯根膜」という組織があり、ここに持続的な圧力がかかることで骨の代謝が起こります。
圧がかかった側の骨が吸収され、反対側では新しい骨が作られる──このサイクルで歯は少しずつ移動します。
しかし、装着時間が足りないとこのサイクルがうまく働かず、歯の移動が止まってしまいます。
結果として、治療が長引いたり、マウスピースが合わなくなったりすることがあります。
当院でも、治療前のシミュレーションは1日20時間以上装着する前提で作成します。
装着時間が不足すると、再設計や作り直しが必要になることもあります。
夜間だけの装着で効果が出るケースとは？
一部の装置には、「夜間のみの装着」を前提としたタイプも存在します。
これらは一般的な矯正治療とは異なり、歯ぎしり防止や軽度の歯列保持を目的とした「ナイトガード型矯正装置」です。
このタイプは、8時間ほどの装着で軽い歯の位置異常を整えたり、歯のすり減りを防ぐ効果が期待できます。
しかし、歯を大きく動かすような本格的な矯正には不向きです。
もし「夜だけの装置」を希望される場合は、治療目的を歯科医師に明確に伝え、
自分の症例が適応できるかどうかを確認することが大切です。
夜だけの装着にした場合のリスク
治療期間が延びる
装着時間が短いと、歯の移動スピードが遅くなります。
通常2〜3年で終わる治療が、数ヶ月から1年以上延びることもあります。
マウスピースが合わなくなる
歯が予定より動かないことで、次の段階のマウスピースが入らなくなる場合があります。
この場合は型取りからやり直しとなり、追加費用や治療の中断期間が発生します。
治療効果が出にくくなる
夜だけの装着では、歯を動かすのに必要な時間が圧倒的に足りません。
結果として、矯正効果がほとんど得られず、再治療が必要になるケースもあります。
むし歯や歯周病のリスク
装着時間が不規則だと衛生管理が難しくなります。
外している間に間食をする回数が増え、むし歯や歯肉炎のリスクが上がることがあります。
また、頻繁な取り外しでマウスピースが破損・紛失するケースも見られます。
効果を最大限にするための工夫
アラームを活用して装着を習慣化
スマートフォンのリマインダーを利用して、「食後に再装着するタイミング」を管理すると忘れにくくなります。
毎日のルーティンに組み込む
朝の歯磨き後や夜のスキンケア後など、習慣的な行動とセットにして装着することで、自然に継続できます。
予備のマウスピースを携帯
外出先で破損・紛失したときのために、一つ前の段階のマウスピースを持ち歩くと安心です。
モチベーション維持
治療の変化を写真で記録しておくと、歯並びの改善を実感でき、継続の励みになります。
周囲に応援してもらう環境づくりも、長期間の治療を続けるうえで大切です。
違和感や痛みへの対処法
新しいマウスピースに交換した直後は、軽い痛みや違和感を感じることがあります。
これは歯が動いている証拠であり、多くは2〜3日で慣れます。
就寝前に新しいマウスピースに交換すると、睡眠中に違和感を感じにくく、順応しやすくなります。
痛みが強い場合や、装置が合わない場合は自己判断せず、歯科医師に相談しましょう。
自分に合った矯正方法を選ぶには
ライフスタイルや希望する治療期間によって、最適な矯正方法は異なります。
1日20時間以上の装着が難しいと感じる方は、固定式のワイヤー矯正も選択肢の一つです。
軽度の歯並びであれば部分的なマウスピース矯正、
骨格的な問題を伴う場合はワイヤー矯正や外科的処置が適応になることもあります。
渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科では、
レントゲン・セファロ分析・口腔内スキャナーなどを用いて、
一人ひとりに最適な治療法をご提案しています。
一般的なリスク・副作用について
マウスピース型矯正歯科装置の治療には、以下のような一般的なリスク・副作用があります。
- 装着初期に痛み・違和感を感じることがある
- 発音が一時的にしにくくなる場合がある
- 装着時間が不足すると歯の移動が進まないことがある
- 装置の破損・紛失により治療期間が延びることがある
- 清掃不足により、むし歯や歯周病のリスクが高まる
- 保定装置を怠ると、歯が元に戻る可能性がある
これらは多くの場合、一時的で管理可能なものです。
定期的な通院と丁寧なケアでリスクを最小限に抑えることができます。
費用の目安（自由診療）
当院（渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科）では、症例に応じてマウスピース矯正の費用を以下のように設定しています。
|
治療内容 |
費用（税込） |
備考 |
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マウスピース型矯正 |
748,000〜968,000円 |
調整料を含む |
|
マウスピース部分矯正 |
327,800円 |
前歯のみの軽度ケースに適応 |
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保定装置 |
約２万円前後（片顎） |
保定期間に使用 |
治療期間と通院回数の目安
- 治療期間：1〜3年程度
- 通院回数：24〜36回程度（4〜12週間ごと）
まとめ｜夜だけの装着では十分な効果は得られない
マウスピース矯正で理想の歯並びを目指すには、1日20〜22時間の装着が欠かせません。
夜だけの装着では、歯が計画通りに動かず、治療が長引いたり効果が得られないリスクがあります。
ただし、夜間専用の装置が適応できる軽度のケースもあります。
ご自身の症例に合う治療方法を知るためには、矯正歯科医による正確な診断が必要です。
渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科では、患者さんの生活スタイルやご希望に合わせて治療計画を立てています。
完全個室の診療室で丁寧にカウンセリングを行い、費用・期間・リスクまでしっかりご説明いたします。
美しい歯並びと健康的な口元を目指して、正しい装着習慣から始めていきましょう。
著者情報
渋谷宮下パーク歯科矯正歯科 院長 山本 相春
【略歴】
2007年北海道医療大学 歯学部卒業後 北海道大学第一口腔外科 研修医
2008年大阪の審美・矯正歯科医院で勤務
2013年都内の歯科医院で分院長として勤務
2016年インビザライン矯正専門医院に勤務
2018年渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科 開院
【資格・所属学会】
インビザライン認定医ダイヤモンドプロバイダー（年間150症例以上）
日本矯正歯科学会所属
日本歯科審美学会所属
日本成人矯正歯科学会所属
東京医科大学病院医療連携医
東京歯科大学水道橋病院医療連携協力医療機関
ニューヨーク大学2017年iACD DIPLOMA 所得
アリアスリンガルシステムワイヤーハンズオンコース修了
ASO Aligber認定医
ZERO system Basic Course 修了
Basic Course of Implant Orthodontic Treatment Course 修了
3i implant sinus approach advance course 修了