今回は、当院のマウスピース矯正でも導入している「iTero(アイテロ)」について解説致します。
iTeroとは、インビザラインを提供しているアラインテクノロジー社によるデジタル印象採得装置です。日本では、2017年に医療機器製造販売承認を取得しています。
印象採得(いんしょうさいとく)とは、虫歯治療で使うインレー・アンレー(詰め物)、クラウン(被せ物)、ブリッジなどの修復物や、矯正治療装置の設計、製造のための歯型(印象)を取ることをいいます。
簡単に言うと、お口の中の状態を正確な模型に再現する作業です。歯の形はもちろん、歯茎の形状、インプラントや詰め物の位置などお口の中のあらゆる情報を正確に写し取って作成します。マウスピース矯正では、この印象を元にマウスピースが製作されるので、とても重要な工程のひとつです。
これまでは、お口の中に印象材と呼ばれるシリコンなどを流して、固めることで歯型を取っていました。印象材を使った歯型取りは、シリコンが固まるまでお口を維持して待たなければならないうえに、シリコンがうまく歯に密着しなかった場合はやり直しをすることもあり、苦痛と感じる方も多くいらっしゃいました。
iTeroは、印象材を使わずに、お口の中をレーザーでデジタルスキャンして3D画像化した歯型を取ります(非接触型)。そのため、シリコンが口の中に入る独特の苦痛や不快感がなく、嘔吐反射などが強い方でも楽に歯型を取れます。また、シリコンが固まるまでじっと待つ必要もありません。
さらに、レーザーによるデジタルスキャンのため、印象材を使った型取りよりも高精度な歯型を作成できます。スキャンした映像をその場で確認しながら調整できるので、何度もやり直す手間もなく、スピーディに高精度の歯型を取れます。
精密な歯型によって装着感も向上し、iTeroによって製作したマウスピースはフィッティングの問題が1/7に減少したという統計データもあります。
iTeroは、これまでの印象採得の問題点を解決し、さらに効率よく、高精度な口腔内の3Dデータを作成できる画期的なシステムですので、より安心で正確なマウスピース矯正を行なえます。