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コラム COLUMN

八重歯を矯正すべき理由|治療のメリットと具体的な方法

八重歯とは、一般的に犬歯が外に飛び出している歯並びのことをいいます。日本では、八重歯は素朴でかわいらしいイメージもありますよね。しかし、八重歯があると噛み合わせのバランスが悪くなるなど、さまざまなデメリットもあるのです。

この記事では、八重歯になってしまう原因や八重歯があるデメリットについて解説します。また、
八重歯を矯正するメリットや具体的な治療法についても紹介していきますので、八重歯の矯正を検討している人は、ぜひ参考にしてください。


♦八重歯になってしまう原因


八重歯になってしまう原因の多くは、歯の大きさに対してあごが小さいことにあります。
あごが小さいと永久歯がきれいに並ぶスペースが取れません。そのため、あとから生えてきた歯が押し出されてしまうのです。

前歯中央から3本目の犬歯は最後に生えることが多いため、歯列からはみ出してしまうケースが多くなります。「八重歯は遺伝」といわれることがありますが、遺伝する要素は八重歯そのものというより、あごや歯の大きさ・形によるものなのです。

♦八重歯のデメリット



日本においては八重歯にはかわいらしいイメージもあるため、あえて矯正しなかった人もいるでしょう。しかし、お口や全身の健康という視点でみるとデメリットもあります。八重歯がもたらす健康へのデメリットについて解説します。

 

奥歯に大きな負担がかかる

人が食べものを噛むときは、歯1本につき約50kgという大きな力がかかっています。犬歯は噛み合わせ上とても重要で、歯列全体にかかる負担を分散する役割を担っている歯です。

食べ物を奥歯ですり潰すときにあごが横方向に動くと、犬歯は上下で噛み合ってその力を受けます。犬歯は他の歯より尖っているため、犬歯が噛み合うと上下の奥歯が離れて少し浮いた状態になり、
奥歯に過度な負担がかかりません。

しかし、八重歯になっていると上下の犬歯がうまく噛み合わないため、他の歯、とくに奥歯に大きな負担がかかってしまいます。この状態が続くと、歯がすり減ったりヒビが入ったりして、虫歯や知覚過敏になるリスクも高くなるのです。また、あごに過度な負担がかかることで顎関節症などの症状が出る可能性もあります。

 

虫歯や歯周病になりやすい

八重歯になると歯並びに重なりができてしまい、表裏どちらからも歯磨きしにくくなるため、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。デンタルフロスなどで丁寧に歯間のケアをする習慣をつけることが大事です。

さらに、噛み合わせのバランスが悪いことで生じる歯への負担は、歯周病に似た症状を起こす「咬合性外傷」の原因ともなります。咬合性外傷がひどくなると、歯がグラつく・歯が割れる・歯ぐきの中の骨が溶ける、といった症状が出て、最悪抜歯となるケースもあります。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、とくに注意しましょう。



♦八重歯を矯正するメリット




八重歯を矯正すると、見た目の変化だけでなく、食生活など健康面でもさまざまなメリットがあります。ここからは、八重歯を矯正して得られるメリットについて詳しく解説します。

 

口元全体の見た目が改善され笑顔がより素敵になる

多くの場合、八重歯は口を開けると目立ってしまいます。そのため、八重歯が見えることが気になって、にっこり笑えない人もいるでしょう。口元を手で隠す癖がある人もいるかもしれません。八重歯を矯正すると、歯並びを気にせずに思い切り笑うことができます。笑顔を見せるとポジティブで明るいイメージになり、周りの人からの印象も変わるでしょう。

また、八重歯は外側に飛び出ているので、口を閉じていると口元が膨らんでしまいます。そのため、人によっては口を閉じていても口元がゆがんだ印象になります。とくに口元の膨らみが目立つのは、顔を横から見たときです。八重歯を矯正すると口元の膨らみも改善され、よりシャープで美しいラインになります。

 

食べ物を美味しく食べられる

八重歯を矯正すると噛み合わせの問題が改善されるので、食べ物をしっかりと噛めるようになります。食べ物をしっかり噛めないと、咀嚼が不十分なまま飲み込むため胃などに負担がかかり、消化不良を起こす可能性があるのです。

また、八重歯を矯正すると虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。そのため、年を重ねても自分の歯で美味しく食事ができるようになるでしょう。唇の裏を八重歯で傷つけてしまうといったトラブルもなくなります。しっかり噛むことはお口周りの筋肉を鍛えることにもつながるため、口元全体の見た目や横顔のシルエット改善にもつながります。

 

頭痛や肩こりが改善されることも

八重歯を矯正することで全身のバランスが整い、頭痛や肩こりが改善されるケースもあります。噛み合わせが悪いと、噛むときに使う左右の「側頭筋」に負担がかかります。これが続くと側頭筋が過緊張になり、血行が悪くなって頭痛や肩こりの原因のひとつとなるのです。

また、噛み合わせが悪いと、人によっては片側だけで噛む癖がついてしまうことがあります。噛みやすい方でばかり噛んでいると、体の重心の位置がズレてしまい、全身の筋肉疲労や頸椎への過度な負荷につながる可能性があるのです。八重歯の矯正は、こういった体の悩みの解決にも役立ちます。



♦八重歯の治療法

八重歯が気になっていても、具体的な治療方法や費用などがわからず困っている方もいるでしょう。ここからは、八重歯の矯正方法や期間、費用、子どもの八重歯予防などについて紹介します。

 

ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも治療できる

八重歯は、一般的なワイヤー矯正はもちろん、裏側矯正、マウスピース矯正でも治療できます。
ワイヤー矯正は、歯の表面に貼りつけたブラケットという小さな装置にワイヤーを通して引っ張ることで歯並びを矯正します。裏側矯正とは、ブラケットやワイヤーを歯の裏側につける方法で、外から矯正器具が見えないことがメリットです。

マウスピース矯正は、個々に合わせて作ったマウスピースを段階ごとに付け替えていくことで歯並びを改善する治療法です。透明なマウスピースをお口にはめるだけなので、従来のワイヤー矯正に比べて装置が目立ちません。また、患者さまご自身で取り外しできるので、食事や歯磨きがこれまで通りできるのもメリットです。

歯を大きく動かす必要がある重度の八重歯の治療はマウスピース矯正では難しいとされていましたが、知識や経験が豊富な歯科医師なら十分に対応できるケースが多くなってきました。

いずれの矯正方法でも、必要に応じて歯の表面にアタッチメントをつける、ゴムをかけるといった一時的な処置がとられることがあります。


♦抜歯は必要?八重歯は抜かないで!

八重歯の矯正には、歯がきれいに並ぶスペースを確保するために抜歯が必要なこともあります。
しかし、八重歯そのものを抜くのはおすすめできません。前述したように、八重歯になりやすい犬歯は噛み合わせ上、とても重要な歯だからです。

一般的に、八重歯の矯正の際に抜歯するのは、前歯中央から4番目の第一小臼歯か5番目の第二小臼歯です。これらの歯は犬歯と奥歯の間にあり、抜歯しても噛み合わせへの影響が少なく済みます。

もしくは親知らずを抜歯し、歯を全体的に後ろに動かして八重歯のスペースを確保する方法もあります。例えば、渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科などで採用しているマウスピース矯正「インビザライン」は、こうした歯の後方移動が得意です。

 

歯と歯の間を削ってスペースを確保することも可能

前歯が大きいために八重歯の入るスペースがない場合、ストリッピングという方法をとるケースもあります。これは、前歯の側面をヤスリのような器具で削り、隙間を作る方法です。歯を削ると聞くと心配される方もいますが、エナメル質の厚みの半分以下である約0.2mm~0.6mm程度でおさめれば、虫歯や知覚過敏を引き起こすリスクはほとんどありません。

この方法で少しずつ複数の歯を削ると、合計で数ミリの隙間を確保できます。しかし、抜歯ほど大きなスペースは作れないため、ストリッピングを適用できるかは歯並びの状態によるでしょう。

 

軽度なら部分矯正でも治療できる

軽度の八重歯であれば、気になる部分の歯だけを動かす部分矯正で治療できることもあります。
通常の矯正と同じく、おもにワイヤー矯正で治療します。一般的に、部分矯正は歯全体を矯正するよりも費用が安く、治療期間も短いのがメリットです。また、歯が動く痛みも少なくてすみます。

しかし、犬歯が大きく飛び出しているなど重度の八重歯には適用するのが難しいケースが多いでしょう。また、矯正部分以外のケアはできず、全体的な噛み合わせの改善はできません。

 

子どものうちに対処すれば矯正が不要なことも

前述したように、八重歯など多くの歯並びの乱れの原因は、あごのスペースが足りず歯が入りきらないことです。とはいえ、大人になってからあごを大きくすることは基本的にできません。

しかし、成長途中にある子どもならあごの成長のコントロールが可能です。子どものあごの骨は柔らかいため、歯科医院で早期に治療を始めてあごの成長をサポートすると、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保しやすくなります。

あごの成長を適切に誘導できれば、八重歯になるのを未然に防ぐことができるのです。永久歯が生えそろってから本格的な矯正が必要になっても、治療期間を短くでき、痛みも少なく済みます。

とは言え、成長期に治療を開始するのが重要なため、まだ乳歯が残っている6~10歳頃を目安に歯科医院に相談するのがおすすめです。


♦八重歯の矯正治療の費用と期間

八重歯の矯正治療は自由診療となるため、費用は歯科医院によってさまざまです。また、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、矯正方法によっても異なります。大まかな目安は60~100万円ほどです。軽度の八重歯を部分矯正で治療する場合はこれより安くなります。

治療期間の目安は1~3年ほどで、矯正方法による違いは基本的にありません。治療期間は歯並びの状態によるため、重度の八重歯で抜歯が必要など、歯を大きく動かすケースほど期間は長くなります。

♦八重歯が気になったら矯正専門医にご相談を

八重歯は矯正によってきれいな歯並びにできます。しかし、矯正は専門性の高い分野のため、歯科医院であればどこでも同じように治療できるというわけではありません。トラブルを避けて、満足のいく結果を得たいなら、矯正治療を得意とする歯科医院を選ぶと良いでしょう。

歯並びやお口の健康の問題は、放置していると悪化するリスクもあります。歯並びが気になるなら、ぜひ早めに歯科医院に相談しましょう。


 


渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科
歯科医師
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