歯の表に矯正装置をつける表側矯正に対して、歯の裏側(舌側)に矯正装置をつけて行なう矯正治療のことを裏側矯正と言います。表側から装置が見えないことが最大の特徴であり、仕事の都合で、矯正装置が目立つのが難しい事情（接客業や人と接する機会の多い方）を抱えている患者さまに特に利用されている矯正方法です。

表側矯正と異なり比較的新しい矯正方法で、裏側の歯の形は表よりも複雑な形をしているため高度な技術が必要となります。また、目で確認しながら施術できる部分が狭いため、矯正専門医の中でも施術できる医師が限られています。
表側の歯と裏側の歯では前歯から奥歯までの距離に差があり、装着するワイヤーの長さにも差が出てくるため、ワイヤーで引っ張る弾力に違いが出てくるため表側矯正との歯の力のかかり具合に差がでてきます。

またブラケットやワイヤーが歯の裏側に付くためかみ合わせが装置と干渉することがあるため、場合によっては奥歯のかみ合わせを一時的に高くする必要が出てきます。

また裏側矯正では、目で確認しながら直接歯にブラケットを接着するのが困難であるため、まずは患者さまの歯の模型を作成することになり、この技術が裏側矯正にとって非常に重要です。
作成した模型を使用し、ワイヤーがまっすぐになるブラケットの接着位置や高さ、厚さや角度を予め決めておくコアを技工士が作成していきます。その作成したコアを患者さまの実際の歯に装着し、ブラケットを接着していきます。

 この手法はインダイレクトボンディングと呼ばれる方法で、目で確認しながら行なう表側矯正はダイレクトボンディングと呼びます。
インダイレクトボンディングの技術は裏側矯正にとって必要不可欠な技術です。表側矯正よりもコストや手間がかかりますが、この技術によって裏側矯正は従来よりも一層綺麗な歯並びを実現できるようになったのです。