
透明なマウスピースを使って歯並びを整える治療は、目立ちにくく日常生活への負担も少ないことから、多くの方に選ばれています。一方で、「治療を始めたのに思ったように歯が動かない」「治療後に噛み合わせが気になるようになった」といった不安の声があるのも事実です。
実際、マウスピース矯正は適切な診断・計画・管理が行われていることを前提に成り立つ治療であり、条件が揃わないと計画との差が生まれることがあります。この記事では、治療中や治療後に「悪化した」と感じる可能性のある6つのケースと、その対策について詳しく解説します。
マウスピース矯正で起こりうる6つのケース
1. 歯が計画通りに動かず、仕上がりが不十分になる
シミュレーション通りに歯が移動しないケースがあります。
原因として多いのは、
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- 1日20時間以上の装着が守れなかった
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- 歯の動きに対して治療計画が適していなかった
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- 装置のフィット不良
- 装置のフィット不良
などです。
マウスピースは「ゆっくり確実に動かす」ことを前提とした治療のため、装着時間が不足すると歯の移動が遅れ、計画にズレが生じてしまいます。
2. 噛み合わせが変わり違和感が出る
見た目だけに注目し、噛み合わせの調整が不足していると、治療後に「前歯だけ当たる」「奥歯が浮く」と感じることがあります。
治療中はマウスピースで歯全体が覆われるため、一時的に噛み合わせが変化することもありますが、治療終了後も違和感が残る場合は調整が必要です。
3. 歯茎が下がった・歯根が露出したように見える

過度な移動量が設定された場合や、もともと歯茎や骨が薄いタイプの方では、歯周組織に負担がかかることがあります。
その結果、
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- 歯茎が下がる(歯肉退縮)
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- 歯と歯の間に隙間(ブラックトライアングル)ができる
- 歯と歯の間に隙間(ブラックトライアングル)ができる
と感じることがあります。
日本人は骨が薄い傾向があるため、治療前の精密診断が重要です。
4. 虫歯・歯周病のリスクが高まる
マウスピースは長時間装着するため、唾液の自浄作用が働きにくくなり、汚れが停滞しやすくなります。
装着したまま飲食をしたり、清掃を怠ったりすると虫歯や歯周病のリスクが上がるため、治療中は特に口腔ケアが重要です。
5. 治療期間が延びてしまう
マウスピースの装着時間不足、虫歯・歯周病による中断、歯の動きの個人差などにより、計画より治療期間が延びることがあります。
治療が長引くと追加の調整(リファインメント)が必要になる場合もあります。
6. 治療後に後戻りしてしまう
治療後の歯は不安定な状態のため、保定装置(リテーナー)を適切に使用しないと歯が元の位置へ戻ろうとします。
後戻りは矯正治療全般で起こりうるため、治療終了後1〜2年程度はリテーナーの使用が大切です。
治療がうまくいかない原因
■ 診断・計画の精度が不十分
マウスピース矯正は、事前に行う診断と治療計画が結果を左右します。
歯並びの状態、骨の厚み、歯の傾き、噛み合わせなどの情報を精確に把握し計画へ反映させることが重要です。
当院では、
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- レントゲン
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- セファロ分析
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- 口腔内スキャナー
などを使用し、治療に必要な情報を多角的に確認しながら治療計画を立案します。
- 口腔内スキャナー
■ 装着時間・自己管理の不足
マウスピース矯正は「取り外せる」ことが魅力ですが、その分、患者さん自身の管理が治療結果に直結します。
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- 1日20時間以上の装着
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- 決められた交換サイクルを守る
-
- 定期的な通院
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- 毎日の清掃
- 毎日の清掃
これらを継続することで治療計画通りに歯が動き、治療期間の延長や後戻りのリスクを減らすことができます。
治療を成功させるための対策
1. 精密検査に基づいた治療計画
歯の状態・骨格・噛み合わせを正確に把握し、過度な移動計画を避けることが大切です。
2. 装着時間を守る
装着時間を守らないと治療が予定より長引く可能性があります。
1日20時間以上を目安に、生活スタイルに合わせて装着習慣を整えましょう。
3. 清掃と衛生管理

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- 毎食後の歯磨き
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- マウスピースの洗浄
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- 飲食時の取り外し
を徹底し、虫歯・歯周病のリスクを抑えます。
- 飲食時の取り外し
4. 定期チェックで調整
治療中は、歯の動きやマウスピースのフィット状態を確認し、必要に応じて計画を調整します。
違和感がある場合や、装置が合わないと感じたらすぐに相談してください。
5. リテーナーを正しく使用
治療終了後は、保定装置で歯を安定させます。
最初の1年は長時間の装着が推奨され、その後は徐々に夜間のみへ移行します。
▼ 渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科の治療
■ 精密診断と丁寧な説明
当院では、検査結果をもとに治療の流れ・治療期間の目安・通院頻度・治療費・一般的なリスクをわかりやすくお伝えしています。
■ 治療方法の選択肢
患者さんの症例に応じて、
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- マウスピース矯正
-
- 表側ワイヤー矯正
-
- 舌側(裏側)矯正
- 舌側(裏側)矯正
から適切な方法をご案内します。
■ 治療期間と通院回数(当院基準)
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- 治療期間:1~3年程度
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- 通院回数:24〜36回程度(4~12週間ごと)
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- 保定期間:1〜2年以上(リテーナー使用)
▼ 当院の料金(自由診療)
治療内容 |
費用(税込) |
マウスピース矯正(全体) |
748,000〜968,000円 |
マウスピース部分矯正(片顎) |
327,800円 |
表側ワイヤー矯正 |
748,000〜968,000円 |
ハーフリンガル矯正 |
898,000円~1118,000円 |
| 裏側全体ブラケット矯正 |
1048,000円~1268,000円 |
保定装置(リテーナー) |
約2万円前後(片顎) |
※矯正歯科治療は公的医療保険の対象外です。症例により金額が変動する場合があります。
▼ 一般的なリスク・副作用
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- 痛み・違和感
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- 清掃性低下によるむし歯・歯周病のリスク
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- 歯根吸収
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- 歯の動揺
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- 治療後の後戻り
まとめ
マウスピース矯正は、適切な診断・計画・管理が行われていれば、日常生活に大きな負担をかけずに歯並びを整えられる治療です。一方で、装着時間不足や計画の精度が不十分な場合には、思った通りの結果が得られない可能性もあります。
渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科では、患者さんの状態に合わせた治療計画と丁寧なフォローを行い、治療中の不安や疑問にも対応しています。
治療を検討している方は、まずは現在のお口の状態を確認し、適切な治療方法を一緒に考えていきましょう。
著者情報
渋谷宮下パーク歯科矯正歯科 院長 山本 相春

【略歴】
2007年北海道医療大学 歯学部卒業後 北海道大学第一口腔外科 研修医
2008年大阪の審美・矯正歯科医院で勤務
2013年都内の歯科医院で分院長として勤務
2016年インビザライン矯正専門医院に勤務
2018年渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科 開院
【資格・所属学会】
インビザライン認定医ダイヤモンドプロバイダー(年間150症例以上)
日本矯正歯科学会所属
日本歯科審美学会所属
日本成人矯正歯科学会所属
東京医科大学病院医療連携医
東京歯科大学水道橋病院医療連携協力医療機関
ニューヨーク大学2017年iACD DIPLOMA 所得
アリアスリンガルシステムワイヤーハンズオンコース修了
ASO Aligber認定医
ZERO system Basic Course 修了
Basic Course of Implant Orthodontic Treatment Course 修了
3i implant sinus approach advance course 修了