外科矯正とは、通常の矯正歯科治療だけではなく、顎骨の手術と併用する治療のことです。通常の矯正治療だけでは噛み合わせの改善が困難な場合などに行なわれています。歯並びや噛み合わせの矯正だけではなく、下顎と上顎の骨のズレをなくしたい際にも有効です。
歯科矯正と聞くと、ワイヤーを使った矯正治療やマウスピース矯正治療などはよく知られています。一方、外科矯正のような手術を用いる矯正方法は馴染みがなく、また外科的な治療ということに抵抗を感じる方もいますが、口腔外科の中では比較的用いられることの多い治療法になります。
一般的な治療の流れは、まずワイヤーを使って術前矯正治療(約1年~1年半)を行ないます。その後に外科手術(約1週間~10日の入院)を行ない、また再度ワイヤーによる術後矯正治療(約6か月~1年)を施します。
ワイヤーを使用した治療を2回行ない、その治療と治療の間に外科手術を挟む流れです。もちろん、症状やケースによって治療の流れは違ってきますので、必ずしもこの流れとは限りません。
また、外科矯正が通常の矯正治療と大きく異なる点は、顔つきが改善されることです。手術によって前に出た下顎を骨格的に改善するので、顔貌や輪郭の改善も期待できます。ちなみに、この外科矯正を選択する方に見られる症状は、下顎前突症や上顎前突症、顔面非対称などが挙げられます。
費用はケースにもよりますが、外科矯正は顎口腔診断の施設基準を満たした歯科医院や大学病院などで保険適用が可能となります。費用は症例によってかなり違ってきますが、矯正治療は3割負担で30万円前後、手術入院費用は約25万円~35万円です。保険適用ができないケースは自費診療で、もっと高額になる可能性があるので、事前にしっかりと確認しましょう。