本日は歯を治すときに入れる補綴物。インレー(詰め物)、クラウン(かぶせ物)について説明します。
補綴物という言葉は普段歯医者に行ったことがない人にとってはなかなかなじみのない言葉ですね。
しかし虫歯を治す側にとっては切っても切れないとても重要なものです。
どういった場合に補綴物を入れないといけないのでしょうか。
まず虫歯の治療を行う時には虫歯の部分を全て削る必要があります。
最近歯を削らない治療という言葉が流行っていますが、それはごく初期の虫歯にのみ適応されます。(再石灰化というものを促します)
虫歯は少しでも取り残したりするとそこからまたどんどん拡がってきますのですべて取り除く必要があるのです。
虫歯の進行にも程度がありC1~C4まであります、C1はエナメル質に限局しているもの、C2は象牙質まで進行しているう蝕、C3は歯髄まで進行している状態(自発痛があります)、C4はすでに歯冠が無くなってしまった状態になっています。
よく学校検診とかでC~とかって言っている声が聞こえてくるあれですよね。
基本的にはC2以上のう蝕は必ず治療を行ったほうがいいです。
虫歯は細菌感染であり、歯を溶かす性質があるため歯が溶けてしまうと、もう元には戻りません。
そのため溶けたり欠けたりした後の歯や虫歯を削った後の歯はどうしてもなにかを詰めないとだめなので人工物を入れる必要があります。
一部歯質が欠損した状態を治すには詰め物、CR(プラスティック)やインレー(金属やセラミック)を使用します。
範囲が小さい場合にはCRで治したりすることもできますが範囲が大きくなってしますとCRではあまり治しません。
正確に言うと治せないこともないですが、物性的に劣る面があるためお勧めしません。
つまり治す範囲によって詰め物なのかかぶせ物なのかどちらを入れるのか変わります。
歯を部分的に治すにはインレー(詰め物)、歯を全体的に治すにはクラウン(かぶせ物)になります。
たとえば虫歯を削った後に歯質が2割くらい残っていても、強度の面から考えて歯科医師の判断で全体の歯を覆うかぶせ物にしてしまう場合もあります。
そのほうが壊れずらいですし、後々のことを考えるとむし歯になるメリットが少ないからです。
詰め物やかぶせ物にもいくつかの種類があります、何が違うのでしょうか?
まず詰め物でよく使われる材質がCR(プラスチック)です。
これは光で固まる材質でできており、歯科医院ではかなりポピュラーな素材です
固まる前は流動性が高くて、加工しやすく、保険診療なので安価で白いため小さい詰め物ではこれが使われたりすることが多いです。
しかし強度はかなり使用する場所によってはすぐに割れてしまうこともあります。
またプラスチックなので、経年劣化が早く黄色くなりやすいので注意が必要です。
比較的詰め物の部分が大きい場合には型取りをして、別の場所で作製して別日に改めて装着するインレーというものがあります。
歯科技工士さんという、補綴物を作製するプロが作るので精度が高く、丈夫なものができてきます。
現在の保険制度では金属でしか作れないですが自由診療だとセラミックやジルコニアという白くて丈夫な素材で作ることもできます。
セラミックやジルコニアは硬くて綺麗で、経年劣化が少ないため長持ちします。
ただしセラミックなどは硬いという性質から割れやすいものでもあります。
またセラミックやジルコニアは自由診療なので医院や種類によって値段が違ってくるので事前に価格の確認が必要です。
歯冠全体にかぶせ物をする補綴物はクラウンといいます。
これは神経を取った歯や、全体的に虫歯の進行している歯に適応されます。
歯をすべてかぶせ物で覆ってしまうために強度が強く、再度虫歯にもなりずらいです。
歯冠全体を覆うため材質によってはかなり値段の違いが出てきます。
かぶせ物の相場はジルコニアやセラミックで作製すると医院によっては10万~15万程度することが多いです。
値段が高いと感じるかもしれませんが、きれいにかぶせればほぼ一生ものでかなり長期間持つものなので長い目で見ればコストパフォーマンスはいいと思います。
銀歯だと見た目が良くないし、前歯の場合は前装冠といって前側がプラスチックでできたものもありますが年数がたてば黄色く変色してきてしまいます。
いかがでしたでしょうか?基本的に虫歯治療の場合は虫歯を削った後に歯冠修復という処置が必要です。
歯冠修復方法は様々な材質があり、患者にとって選択しなければならないシチュエーションでもあります。
しかし色々な補綴物を選べるということは自由度が高く患者にとってもメリットがあるものであります。
自分の身体に装着するものであり機能的にも審美的にも影響する重要なものでもあるので何を入れるのかじっくり考えましょう。