〒150-0002
東京都渋谷区渋谷1-24-7 宮下パークビル2F

コラム COLUMN

矯正歯科治療のトラブルについて


本日の話題は歯列矯正のトラブルのことについてです。

いつも歯列矯正やインビザラインのメリットについてばかり話しているので今回は歯科矯正治療分野において、起こりうるトラブルやその解決方法についてのお話です。

個人的には歯列矯正自体はとてもいい治療だと思っています、なぜなら見た目が良くなるのはもちろん、歯がきれいに整列することで歯磨きがしやすくなったり、噛み合わせが良くなったりと機能的にも改善されるのでQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上にも繋がります。

しかし、矯正治療を行うためにはいいことばかり起こるわけでありません。

できるだけトラブルは起こらないことに越したことはないのですが、残念ながら絶対に起こらないとは言い切れません。

すべてに言えることなのですが、治療を行うということはリスクがあるということです。

そのリスクを十分に認識したうえで治療を受けることが大切です。

それでは矯正治療を行っていくうえで、考えられるトラブルを挙げていこうと思います。


1.料金のトラブル

矯正治療は自由診療なので一部のケースを除いて健康保険が適応されません。

すべての患者が自由診療であることを知っていて診察を受診するわけではないので、医院に来てお話を聞いてみたら思っていたよりも高額な治療だったと気付くということもまれにあります。

矯正治療の料金は基本料金以外にも調整料などがかかることもあります、そのため初めにかかる金額だけではなく、終了するまでにかかる金額を計算して予算を試算することが大事です。

矯正治療にも症例によって簡単なケースや難しいケースなど難易度の差があるため、終了までの期間が異なります。そのため歯科医院側が毎月の調整料を受け取ったりするのも悪いことではないと思います。

また装置の破損や紛失などでも別途料金がかかることが多いです。

しかし開始時に安い金額を提示しておいて、矯正治療を開始してから毎月かかる金額が積み重なり、結局お支払いが高額になるケースがあり見受けられます。

患者側も事前に終了までどれくらいのお金がかかるのかを十分に確認しておかなければトラブルの元になったりします。

矯正治療はトータルフィー(調整料込)で料金を提示しているところや、調整料別途のところもあるので開始前にしっかりと契約書を確認しておくことが大事です。


2.痛みについて

矯正治療には痛みを伴う場合があります、痛みの感じ方には個人差があり気にならないという人も
たくさんいます。

特にワイヤーでの矯正治療の場合、毎月ワイヤーの径を太くしていくたびに2~3日ぐらいじんわりですが痛みが出る場合があります、その際には温かい塩水で3.4回うがいをすると疼痛が軽減される場合が多いです。

また口腔内にある装置が頬粘膜、舌、口唇など当たりに擦過傷ができる場合があります、これも装置を調整して軟組織に当たらないようにする工夫が必要です。

口腔内は異物感や痛みにとても慣れやすい器官なので、たいていのことはしばらくすると問題なくなじむので、ある程度は時間が必要です。

ただどうしても痛みがある場合は限界まで我慢する必要はありません、なにか解決方法がないか歯科医師やスタッフに相談してみましょう。


3.矯正治療中の清掃不良による虫歯の発生

虫歯は矯正治療をしていなくてもできる場合があります。

これは生活習慣や歯磨きなどの患者のケアの度合によっても多分に左右されるからです。

矯正治療中はお口の中に装置がはいり清掃しずらくなったりするので、いつも以上に歯磨きやフロスなどを頑張る必要があります。

矯正をスタートした時に歯磨きの仕方など医院側から説明があると思いますが、磨きにくい部分をそのままいつも通りの歯磨きで済ませてしまうとその部分が虫歯になってしまいます。

せっかく歯並びがきれいになったのにその後虫歯治療で歯科医院に通わないといけない、なんてことにならないために歯磨きはしっかりと行いましょう。


4.歯科矯正治療行為による偶発症

歯の移動による歯根吸収、装置の素材によるアレルギー、一過性の顎関節症状の出現など矯正治療には原因が明らかでない偶発症が出現することあります。

これは術者側がどんなに注意を払っていても何%かの確率で起こりうるものです。

術者側は事前に起こりうる可能性のある偶発症などを説明する義務があります、不幸にももし起こってしまった場合は早期発見早期対策をすることが重要となります。


5.思うように歯が動かない

歯を移動させるということは本当に複雑なことでどんなに熟練された矯正専門医が処置をしても当初予定していた治療計画通りに歯が動かないということがあります。

それは顎の骨の状態や、歯根や歯冠の長さにも左右され、年齢などによっても変わってきます。

特に若年層ではまだ骨が柔らかく動きやすいのですが、成年になってくると骨の成長が完成され硬くなってくるのでより歯は動きづらくなってきます。

またインビザラインなどのマウスピース矯正では患者自身が使用していただくものなので、患者自身が使えなかったり使わなかったりすると歯は動きません。

そのため、なかなか歯が動かない場合は再度治療計画を立て直す必要が出てきます。

無駄に矯正期間を長くしないため、矯正中は定期的に歯科医院でのチェックは必要です。


6.リラップス(後戻り)が起こる

矯正治療を終えて、動的治療(歯をうごかす治療のこと)が終了しても、その後なにもしないと歯は
後戻りをします。

つまりいきなり装置を外すと歯が元の位置に戻ろうとするのです、そのため歯の後戻りが起こらないように歯の位置を固定する保定装置を装着しないといけません。

保定に使用する装置は、歯科医院によって違いますが、最低3~6か月は保定しないと後戻りして
しまします。

保定の重要性を理解していないと、せっかく治った歯並びがまた悪くなってしますということになりかねないため注意が必要です。


7.術者と患者の間のコミュニケーション不足によるトラブル

矯正治療は長い時間やお金かかり、治療中はお口の機能が制限されることもある治療です。

そのために患者側にとっても色々とストレスや不安が出てくることがあります。

矯正治療を行う医院側と矯正治療を受ける医院側に信頼関係が構築されていなければ、最後まで完全に治療を成し遂げることは不可能です。

説明が不十分な医院や、患者からの問いに答えるのを面倒くさがる医院は注意が必要です。

些細な出来事がトラブルに発展しないようにインフォームドコンセントをしっかり受けて、納得の
いくまで説明を受けることが大事です。

 


いかがでしょう?こうして挙げてみるとトラブルの原因は、医療機関側と患者間の意思疎通や
ちょっとした注意によって防げることが大半です。

せっかく自分の生活の質を上げるために行う矯正治療なので、トラブルによってストレスを

かかえるのはお互い不本意であると思います。

トラブルを起こさないために、担当する医療機関との連携は必ずしっかりとりましょう。


渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科
歯科医師
⇒院長の経歴はこちら