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コラム COLUMN

差し歯があっても矯正治療はできる?



性別を問わず、美が意識される現代において、「歯並びが気になる」という方も多いでしょう。歯並びを直すためには、矯正治療などの歯科治療が必要です。しかし、「矯正治療は治療完了までに長期間かかるのがネック」と、治療に踏み切れない方や「差し歯があるから矯正はできない」という方もいるかもしれません。

 

実は、差し歯があっても矯正治療は可能です。差し歯の場合は、通常とは異なる手順が必要になるケースもあるため、正しい知識をもっておきましょう。また、より短期間で歯並びを直したいなら、差し歯を使う方法もあります。

 

この記事では、差し歯の基礎知識を説明したうえで、差し歯を使った歯並び改善の治療について解説します。

 
 
 
 
 

◇差し歯とは

 

歯を失ったときや虫歯がひどいときの治療法は、主に次の4つです。ここでは、差し歯の基礎知識と、ブリッジ・インプラント・入れ歯との違いについて解説します。

 

歯があるときの治療法

   歯がないときの治療法

 
  差し歯 ブリッジ   インプラント 入れ歯

特徴


自分の歯根の上に、被せ物をつける

 人工の歯  人工の歯  人工の歯

周辺組織への影響

傷んだ歯のみ治療 両隣の歯を削る
必要がある
顎の骨に負担が
かかる
バネをかける歯に負担がかかる

手術の有無

なし なし あり なし

保険

適用可能 適用可能 適用外 適用可能
 
 

|差し歯

そもそも差し歯とは、歯の根っこに被せ、健康な歯と同じ形を造形する被せ物です。虫歯や歯の欠けなどによって、歯の上部を失ったときに傷んだ部分を削って歯根だけ残します。そこに、レジンやセラミック、金属で歯をかたどった、クラウンと呼ばれる被せ物を被せます。

 

歯根は残っているといっても、神経は抜き、歯の内部にコアと呼ばれる土台を作り、その上に被せ物をつける方法です。コアの部分と被せ物は、金属やセラミック、レジンなどで形成されますが、保険適用となるのは金属で作られます。保険適用の差し歯は、適用外の素材よりも安価であることがメリットです。

 

セラミックやレジンの被せ物は、本物の歯に似ていて、目立ちにくいのが魅力ですが、保険の適用外になります。セラミックやレジンは、強度が高いこと、見た目が自然なことがメリットです。

 
 
 
 

|ブリッジ

ブリッジとは、欠損した歯を補うため、両隣の歯へ橋渡しをするように被せ物をつける方法です。
一般的な差し歯は健康な歯根が必要ですが、ブリッジは歯根がなくても、両隣の歯を支えにして人工歯を取り付けます。

 
 


|インプラント

インプラントは、自分の歯の根を使用するのではなく、根があった部分に金属を埋め込んで、人工の歯を着ける方法です。差し歯は歯の上部だけ人工のものに変えるのに対し、インプラントはすべて人工の歯になります。抜歯した部分に適用される方法で、金属を埋め込むため、外科手術が必要です。

 


|入れ歯

一方、入れ歯とは、インプラントや差し歯とは異なり、取り外しができる義歯のことです。すべての歯を義歯にする総入れ歯と、部分的に義歯にする部分入れ歯があります。

 

部分入れ歯は、義歯の横にあるバネを隣の歯にかけることで取り付けます。手術は不要ですが、毎日のお手入れが必要です。

 
 
 
 

◇差し歯でも矯正治療はできる?


差し歯であっても、矯正治療は可能です。

 

矯正治療では、歯の根元や周辺組織が健康かどうかが重要です。もし、歯の上部が差し歯やブリッジであったり、詰め物があったりしても、矯正治療は可能です。

 

ただし、矯正治療で使用するブラケットが取れやすい傾向にあるため、仮歯で対応するケースもあります。ここでは、差し歯で矯正治療をおこなうときに注意したいポイントについて解説します。

それぞれの症状について解説していきます。

 


|治療後につくり直しが必要な場合も

治療前に差し歯がある場合、矯正治療後に作り直しが必要なケースもあります。

 

差し歯は、作られたときの歯並びに合わせて形成されているため、矯正によって歯並びが変わると、嚙み合わせが悪くなる可能性があるからです。矯正治療後も治療前の差し歯を使い続けられるケースもあるため、作り変えが必要かは担当の歯科医師に相談してみましょう。

 
 


|ブリッジの場合は仮歯を使うことも

ブリッジがある場合も、矯正治療はできます。

 

ブリッジは、失われた歯を補うため、両隣の歯を削って土台とし、一連の人工歯を被せる治療法です。矯正治療をする際は、ブリッジを一度外して仮歯をつけて矯正します。矯正治療が終わったら、ブリッジを戻す手順です。

 

ただし、ブリッジは両隣の歯との橋渡し部分を切る必要があることに注意しましょう。矯正治療は、歯と歯の隙間を調節するため、治療をおこなうためのスペースが必要です。ブリッジをつけたままだと、スペースが足りずに矯正治療をおこなえません。そのため、ブリッジは橋渡し部分を切断して外し、仮歯をつけて、矯正治療後に作り直すケースもあります。

 

ブリッジを外して矯正治療をおこなうか、橋渡し部分を切断して矯正し、治療後に作り直すかは、
口腔内の状況によって異なります。ブリッジの場合も差し歯と同様に、まずは歯科医師に相談しましょう。

 



◇差し歯を使った「補綴(ほてつ)治療」

補綴治療とは、傷んだ歯・失った歯を差し歯やブリッジなどの人工歯で補う治療方法です。

 

一般的に差し歯などの補綴治療は歯の欠損を補う目的でおこなわれますが、歯並びの矯正治療の代わりに、補綴治療を利用するケースもあります。矯正のための補綴治療は補綴矯正とも呼ばれますが、歯を動かすわけではないため正確には矯正治療ではありません。

 

補綴治療は、歯並びの気になる部分だけを差し歯に変えることで、矯正治療のように見た目がきれいに整う方法です。矯正治療よりも短期間で治療が完了するため、早く歯並びをよくしたい人に向いています。ここでは、差し歯を使った補綴治療の方法とメリット・デメリットについて解説します。




|治療方法

差し歯を使った補綴治療は、歯並びを整えたい歯を削り、歯の型を作ります。型をもとに歯の模型を作り、差し歯となる人工歯(クラウン)を作製します。人工歯を削った歯に被せて完了です。

 

差し歯にするときと同じ手順で治療がおこなわれ、手術も必要ありません。

ただし、虫歯がある場合など、口腔内の状態によっては、歯を削るときに神経をとることもあります。その場合は、土台となるコアも作成する必要があります。

 


|メリット


差し歯による補綴治療のメリットは、次のとおりです。


⦁ 矯正治療よりも短期間で歯並びを直せる


⦁ 歯の形を自分好みにできる


⦁ 歯の色も白くできる


⦁ 虫歯があるときは治療も兼ねる

 

補綴治療は、治療の範囲にもよりますが、数か月で治療が完了します。矯正治療では、治療完了に1年以上かかるため、早く歯並びを直したい人は選択肢の1つにするとよいでしょう。

自分の歯を動かして歯並びを直す矯正治療では、歯の形や大きさまでは直せません。
しかし、補綴治療では、被せ物となる被せ物の形は自由自在。歯を小さくしたい場合は、被せ物を小さくすることも可能です。

また補綴治療は、被せ物の色も自分で選べます。通常は自分の歯の色に合わせて差し歯を作りますが、変色がある場合に白い被せ物を選ぶことで、真っ白な歯を実現できるでしょう。

差し歯はもともと虫歯や欠けた歯の代替として使われるため、虫歯がある場合は治療も兼ねた歯並び矯正がおこなえます。

 


|デメリット


補綴治療にもデメリットがあります。

 

⦁ 歯を削る必要がある


⦁ 神経を抜くケースもある


⦁ 歯茎と歯のラインが不均一になることも

 

差し歯は、もとの歯を削って、上に被せ物をします。歯並びを直すための補綴治療では、健康な歯を削る必要があるため、その分歯の寿命は短くなるリスクがあります。歯を削ることで、もとの歯の
強度が弱くなるからです。

 

また、歯を削る量が多い場合は、神経に触ってしまう可能性があるため、神経の除去が必要になるケースもあります。神経を抜いたときは、歯根に土台をつけたうえで、被せ物を被せます。工程が増えるため、神経を抜かない場合と比べて、時間と費用が掛かることがデメリットです。

補填治療は、歯に被せ物をつけることで、歯茎のラインが不均一になってしまう可能性もあります。歯肉のラインに違和感を覚えたときは、被せ物の調整で改善できます。

 


◇差し歯があるならまずは歯科医師に相談する

差し歯やブリッジがあっても、矯正治療はできます。

ただし、矯正治療後に新しく差し歯やブリッジの作り変えが必要になるケースもあることを理解しておきましょう。ブリッジの場合、矯正中は外して、仮歯をつける必要があります。

矯正治療をしたいけど、治療に時間をかけたくない場合は、差し歯を使った補綴治療による歯並びの改善治療も1つの選択肢です。補綴治療は通常、失った歯や傷んだ歯の代わりに人工歯を入れる治療法ですが、これを応用して歯並びの改善もできます。

差し歯を使って、短期間の治療で白くきれいな形の歯を造形することが可能です。とくに部分的に
歯並びが気になる場合は、補綴治療も検討するとよいでしょう。

差し歯を使った歯並び矯正は、メリットもありますが、反対にデメリットも存在します。メリット・デメリットを理解し、矯正の方法を選ぶことが重要です。


渋谷宮下パーク歯科・矯正歯科
歯科医師
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