トータルフィー・総額料金制度について

歯科治療を受ける際、とくに矯正治療の場合に悩みの種となりやすいのが、治療費ではないでしょうか。矯正治療は、セラミック矯正からワイヤー、マウスピース矯正など様々な種類がありますが、審美治療に該当するため、一部を除いて基本的に自費治療となります。保険が使えないので、その治療には高額な費用がかかるのです。加えて矯正歯科は、人によって効果に違いが生じやすい治療です。予定よりも治療に時間がかかれば、その分、治療費はかさんでしまう。高額なものであれば、100万円以上もするのが矯正治療です。

 しかし、お子さんの成長前に矯正させたいと思う親御さん、歯列に長年悩みを抱えている方、また歯列の影響が身体にも表れ不調をきたしているという方などは、すぐにでも矯正治療をはじめたい、躊躇していられないと思うことでしょう。矯正治療を始めたいけれど、どの位かかるのか費用の面が不安と感じているそんな方の手助けとなるシステムがトータルフィーです。トータルフィーとは、総額料金制度のことで、矯正治療にかかる総額を提示するシステムです。

 矯正治療は、矯正の器具を装着するだけでなく、月々のメンテナンスや確認、また矯正後の保定など、様々な調整が必要となる治療です。さらに矯正を行う期間も、人によって違うため、予定よりも治療期間が延びて治療費がさらに高額になる可能性もあります。トータルフィーは総額料金と表現されているように、その総額が明確なうえ、固定されています。費用がどのくらいになるのか不安になりながら通院することも、治療期間が延びて治療費がかさむ心配もしなくてよい等のメリットがあります。

 ただし、トータルフィーシステムにもデメリットがあります。治療期間に関していえば、治療期間が長くなる場合には料金の追加がないのですが、治療期間が短くなった場合、トータルフィーシステムを利用していると減額はありません。短い期間で治療できたとしても、最初に示された金額からは変わらないのです。

 そしてもうひとつ、トータルフィーには、検査料や最初の相談料や保定装置の料金が含まれない場合があります。矯正治療には、事前の検査や治療に関する相談が必須ですが、歯科医院のなかにはこの検査や相談料や保定装置の料金をトータルフィーに含まないので注意したいところです。通院を予定する歯科医院が検査料や相談料がトータルフィーに含まれるのか、事前の確認が必要となります。